有馬記念 G1 中山 芝・2500m

一着グラスワンダー
二着スペシャルウィーク
三着テイエムオペラオー

◎−○で本線的中!

 良馬場であったが、内側の芝はかなり荒れており、力のいる馬場であった。スローペースということもあって、勝ち時計は2分37秒2と遅いものとなった。しかしゴール前は4頭が横一線の白熱した展開となり、すばらしいレースであった。

 レースは逃げ馬不在のため予想通りスローペースとなる。前後半の1000mが65.2−59.7秒で、上がり3ハロンは35.3秒。ただ、先頭集団は入れ替わりが激しく、向こう正面から徐々にペースアップしたこともあって、直線でヨーイドンの競馬となったわけでもなかった。最速の上がり時計を出したスペシャルウィークのものが34.5秒で、これは昨年の最速のものと同タイムであった。

 レースを引っ張ったのはゴーイングスズカであった。初めからハナを奪うつもりであったらしく、内へ切り込みながら先頭に立つ。さすが重馬場巧者といったところか、そのまま最内の経済コースを回っていき、直線に入っても手応え十分で見せ場を作る。さすがにG1クラスの馬達にあっさり交わされていったが、初めての逃げで馬場の悪いところを回って6着なのだから、立派。この距離も良い。
 ダイワオーシュウは馬場の外目を回りながら2番手へ。折り合いをつけて芝状態の良いところを通らせた。ペースが上がっていく辺りでこの馬も仕掛けていったのだが、ちょっとその変動についていけない様子。4角では手応えも怪しくなり、最後は12着まで後退。貧乏くじを引かされたかな、という感じ。
 ナリタトップロードはスタートで出遅れ。ペースが遅かったのですんなり3番手まで上がってきたが、出遅れで馬が焦ったのかずっと掛かり気味に。向こう正面では抑えきれずにすうっとゴーイングスズカに馬体を併せに行き、直線へ。直線では余力なくずるずる下がっていったが、坂の中ほどで後続集団に追いつかれそうになった辺りでもう一踏ん張り。凸凹馬場はやはり得手ではないようで、1角で躓くような感じにもなっていた。その内容を考えると7着はいい結果が出た方だろう。距離はやはりこれくらいまでの方がいい馬で、全体のパフォーマンスは素晴らしい。まずはゆっくり休んで、来年の活躍に備えてほしい。

 勝ったグラスワンダーは+12kgで、ちょっと緩い感じがする。筋肉痛の気も残っていたようで、長めに返し馬をして体を十分に温める。
 レースでは行きたがっていたが、騎手と喧嘩をするというほどでもなく、後方外目の10番手をじっくりと追走。ただ、スローペースを嫌ってか、じわじわっと迫ってきたスペシャルウィークの始動を関知してか、3角から馬が勝手にスパートを始める。凄まじい行きっぷりで、馬群のペースが上がっているにも関わらず4角ではすでに先頭集団に取り付く。追い出し自体はもっと遅らせたかったらしいのだが、内に馬体を併せたツルマルツヨシの状態が良いことから、400m標識手前からスパート。内へ入りながら、間を割って伸びてきたテイエムオペラオーや外のスペシャルウィークと懸命に追い比べ、ゴール板直前で前の馬をぎりぎり交わしきる。強い。
 これでスピードシンボリ以来の史上2頭目のグランプリ3連覇。来年は外国馬にも天皇賞(春)の門戸が開放され、おそらくこの馬も出走してくるだろう。さすがに3200mへの距離適正はわからないが、この馬が完璧に仕上がれば克服する期待も大である。古馬の最高峰として、まだまだ君臨してもらいたい。

 スペシャルウィークは−4kgの464kgで、これ以上減らせないところまで減らしてきた。
 レースでは初めから手綱を抑えて最後方へ。折り合いに専念したかったのと、内枠だったので馬群に包まれたくなかったのだろう。スローペースの予想されたこのレースで自ら後ろへつくのは、よほど馬の能力を信頼している証拠である。向こう正面では外目をほんのちょっとずつ上がっていき、グラスワンダーの直後につける。勝負所でもグラスワンダーの直後をすうっと上がっていき、1テンポ遅らせて直線に入ってから追い出す。追い出した辺りで外に膨らんだグラスワンダーの内に入れたかったようだが、同馬が内へ切れ込んできたために一瞬窮屈に。すぐに外に持ち出しぐんぐんと伸び、勝ち馬を追いつめる。最後は交わしたようにも見えたが、ハナ差4cmで大魚を逃す。
 負けはしたが、レース中のほんの些細なことでひっくり返るほどのわずかな差であった。結果で負けはしたが、グラスワンダーとの能力値では、差はないと言っていいだろう。胸を張っていい。これでラストランというのが本当に惜しい馬である。4つのG1の勲章を誇りに、これからは第2の馬生に挑んでほしい。

 テイエムオペラオーは中2週でも元気いっぱい。大した馬である。レースでは6番手くらいで先行策を取り、4角手前でツルマルツヨシやグラスワンダーに被せられる辺りで追い出していったのだが、なかなかスピードが上がらず、直線入り口では2馬身ほど置いて行かれる感じに。坂に入った辺りから持ち前の素晴らしいトップスピードに達し、馬群を割ってみるみるうちに先頭に追いつく。坂を上りきった一瞬は、グラスワンダーも交わして先頭に立ったのだが、最後の最後で首差交わされる。
 やはりコーナーワークが下手な馬で、その意味では早めに勝ち馬らに並びかけてこられたのが痛かった。その辺りは鞍上の誤算であったが、その他は完璧な騎乗であった。また、最後は力でねじ伏せられたものの、相手が世界レベルの古馬と考えれば立派な3着である。スタミナは十分だし、まだ成長分が望めそうなのも心強い。来年がより一層楽しみな馬になった。

 ツルマルツヨシは天皇賞後じっくり立て直し、好馬体に。グラスワンダーの直前9番手くらいできっちり折り合い、残り600mでグラスワンダーが上がってくるのを見て一気のスパート。4角では絶好の手応えで、馬場のど真ん中を力強く駆け上がる。ゴール手前50mまで先頭を死守し、よもやと思わせたが、最後はもう一歩の4着。結果論でいえばほんの少し仕掛けが早かったが、我慢して馬群に閉じこめられることを考えれば仕方ないところ。強い競馬をしたが、坂に入った辺りから馬場の悪い内側へよれていったのが痛かった。
 負けはしたが、やはり一戦級とまともにやり合える能力を持っていることは証明できた。早めに東上しておいて馬体を落ち着かせたのは大正解で、天皇賞の惨敗もこれで帳消しにできただろう。右回りで内にもたれ加減なのは課題であるが、距離はもっと長くても大丈夫で、来年の天皇賞は非常に楽しみである。

 メジロブライトは+8kg。数字だけを見ると減っていた馬体を回復させたわけで、中間の調教が甘く見えたことを考えると、格好はつけてきた感じ。スペシャルウィークに被せられ外に持ち出せず、直線に入るまで追い出しを我慢せざるを得なかった。最後はさすがG1ホースという猛追を見せたが、及ばず5着。脚質上どうしようもない負けであった。
 やはり5歳時のような爆発力は見られないのだが、安定した伸び脚は見せてくれる。来年以降の現役続行は微妙なようだが、天皇賞馬の威厳を損なわないようなレースはまだまだできるだろう。

 ファレノプシスとフサイチエアデールは仲良く8着と9着。どちらにも距離が長いレースだったし、しょうがないだろう。
 ステイゴールドは直線を向いた時点で9番手くらいでは、この馬のジリ脚では辛い。早めに仕掛けるなどの対応がほしかったところ。10着。
 シンボリインディは殿負け。予想で触れたように、グランプリを甘く見すぎであった。好勝負に水を差す結果に。

 大きく折り合いを崩す馬もおらず、逃げ粘る馬、早めに仕掛ける馬、ギリギリまで我慢する馬と、個性豊かな面々の個性豊かなレースを堪能することができた。1900年代の最後を飾るにふさわしいドリームレースであった。
 これで今年の中央競馬も終了である。有終の美を飾った馬もいれば、来年につながる好走を果たした馬もいる。来年の楽しみは来年にとっておいて、全馬への謝辞とともに、本年度の幕を閉じることにする。

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