天皇賞(春)G1 京都 芝・3200m

一着スペシャルウィーク
二着メジロブライト
三着セイウンスカイ

▲−◎で一応GET

 よく晴れてパンパンの良馬場で行われた。
 仮柵が設けられ、非常に荒れた馬場の内側を使わないで済んだため、内側から外側に向かって芝状態が良くなっていき、さらに全体にだいたい良好な馬場状態で競馬を行えた。これは、まずステップレースでは仮柵で馬場の内側を保護し、本番のG1レースでは仮柵を取って最内がもっとも馬場状態が良くなり外が悪いという、昨年までの仮柵の使い方に比べて遥かに平等で効率的なものである。コースの幅が狭くなるという弊害はあるが、この程度は副作用として黙認せざるを得ない程度であろう。今後も今回のような仮柵の使い方をすることを望む。

 レースは、前後半の600mが37.3−34.3秒、前半−中間−後半の1000mは60.9−63.5−58.5秒と、スローペースでお終いの速い競馬となった。全体に前残りで、瞬発力に乏しい馬には辛い競馬だった。

 スペシャルウィークは抜群のスタートからすうっと3番手からの競馬。京都の坂は掛かるようで、1周目の下りも2周目の上り下りも行きたがっていた。当の2周目には坂の上りから抑えきれずに外側を上がっていき、4角で先頭に並びかける。明らかに早すぎる仕掛けだったが、最後まで垂れずに34.2秒の脚を使ってフィニッシュ。完勝であった。
 少なくともいい騎乗とは言えないものだったが、それでも押し切ったことは、この馬の地力をそのまま証明するものである。能力的には昨年の菊花賞がピークと考えていたのだが、スタミナ・パワーともに当時を上回る出来であった。スパルタ調教が功を奏したということだが、ともかく関係者の熱意とそれに応えたこの馬の資質には頭が下がる思いである。
 さて、先に「少なくともいい騎乗ではなかった」と述べたが、実は最低に近い部類に入るものだった。馬の行く気に逆らわない騎乗といえば聞こえはいいが、実際は騎手が何もしていないだけである
 これは、ちょうど一昨年の天皇賞(春)でサクラローレルが行い敗れた騎乗法と、酷似したものである。異なる点は、サクラローレルがはっきり掛かっていたのに対し、スペシャルウィークはいちおう馬なりに上がっていったこと。また、一昨年のものに比べて今年の方が全体にペースがスローで上がりが速かったこと。さらに、マーベラスサンデーとマヤノトップガンの2頭に目標とされたサクラローレルに対し、スペシャルウィークはメジロブライトにのみマークされていたことである。すなわち、全体に流れがサクラローレルの天皇賞に比べて、スペシャルウィークに有利だったことは否めない。
 もちろん、この場でサクラローレルとスペシャルウィークを比較することは意味のないことだし、また比較するつもりもない。さらに、何がどうあれ、自らの力で盾をもぎ取ったスペシャルウィークの偉業が損なわれることも、全くない。ただ、もし負けておれば、今回の鞍上の騎乗法は全くシャレにならないものだったということだ。あえて賞賛点を探すとすれば、「誤魔化してでも勝つつもりだったレースで、本当に力尽くで勝利を奪った」ことそのものについてだろう。
 ついでに距離適正に触れておくが、長丁場のこのレースに勝ったものの、逆に今回のレース内容で、今まで再三言及しているように「この馬は本質的には中距離の差し馬である」という考えをさらに固めることとなった。今後宝塚記念に向かうかは分からないが、出走してくれば当然最有力馬となるであろう。

 メジロブライトはすんなり6番手から。落ち着いて外側を回るが、2周目の3角下りから一気に上がっていき、直線入り口では先頭集団に追いついていた。そこから外を必死に追っていくが、スペシャルウィークには半馬身届かず。
 この馬の脚質を考えると早く仕掛けすぎたとも言えるが、それでもメンバー最速の上がり34.0秒で走っていることを考えると、控えていても逆転まであったと断言はできない。今回は素直に完敗であろう。
 ただ、この馬の唯一大いばりで獲れるG1を落としたことは、間違いなく痛い。さらに、前回と併せてスペシャルウィークとはさすがに勝負付けが済んだと言わざるを得ない。3600mなどならともかく、3200m以下のレースならば、何回やっても逆転できないだろう。

 セイウンスカイは予想で触れた不安点がそのまま的中した形になった。序盤はタマモイナズマ、サンデーセイラ、スペシャルウィークを先に行かせ、入れ込みながら控える形。抑えきれずに1周目のスタンド前からハナへ。その後は微少リードからペースを落とそうとすると、入れ込んだサンデーセイラにつつかれてペースを上げ直す始末。200m毎のラップを示しておこう。

12.6-12.9-11.8-11.4-12.2-11.6-12.0-13.6-13.0-12.5-13.2-12.4-11.8-11.4-11.5-11.4
 これを見てもらえばわかるように、ともかくボコボコのラップである。ちょうど昨年の有馬記念を思い出してもらえばいいだろうか。これでは逃げ馬が最後まで保つわけはない。直線で勝ち馬に並ばれたときは、既に余力無しだった。
 確かに序盤から飛ばす必要はないが、それでも馬なりで上がってハナに立つのならまだしも、引っかかりながら抑えることはなかったと思う。鞍上が余計なことをしすぎたという印象のみが残る、実に中途半端なレースだった。
 とはいえ、それで3着に粘っているのだから、この馬の地力も大したものである。今後も中長距離では頑張ってくれよう。
 しかし、セイウンスカイの時に限らず思うのだが、ステップレースで行った騎乗をそのまま本番で無理矢理行おうとする鞍上には、全く困ったものである。わかりやすいといえばわかりやすいのだが、もう少し芸を磨いてほしいものだ。

 メジロランバートはレース前から入れ込む。2周目の向こう正面で落ち着くが、上がりの速い展開で10番手からでは、この馬の瞬発力で届くはずがない。8着。まだ身体能力も精神面も成長しうる馬であるし、ここでは来年の天皇賞が楽しみと言っておこう。

 マチカネフクキタルは菊花賞を制した以来では、最も良い出来だった。7着惨敗だが、これは全く距離適正が合わないものだから度外視して良い。それより、次走以降が実に楽しみである。宝塚記念では、有力馬の一頭となるであろう。
 シルクジャスティスも、今回が昨秋以来もっとも良い出来だった。馬体は450kg後半のこれくらいに絞れた方がいい。メジロブライトと同じ位置からもう少しで複勝の4着であったが、この馬も長距離よりは2400m程度の方が合っているので、次走以降楽しみである。

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