良馬場で行われた。芝状態は、さすがに内側が掘れてきたようだが、それでも時計は速い。レースは1000mごとのラップが61.5−62.8−60.4秒と、普通のスローペース。ただ、前後半の600mは36.1−36.1秒と等しく、3角辺りから平均して速くなっている。
予想通りゴーステディとマイネルビンテージが逃げる展開となったが、マッキーローレルやジョウテンブレーブが絡んでいったり、マイネルビンテージが早めに脱落したりと、前の方は入れ替わり立ち替わり隊列の変わるややこしい展開に。
エアシャカールはやはり癇性がきつい感じだが、それでも春先に比べればマシな方。
スタートはぼちぼちだったが、今までのように後方待機をすることなく、序盤は馬なりで先頭集団へ取り付いていく。3番手くらいまで上がったら、すかさず開いた最内へ潜り込み、1周目の正面スタンド前を進む。その辺りからは折り合いに専念してじわじわ下げていき、向こう正面では10番手ほどまで下げる。下がりながら馬群に従ってちょっと外へ進路をずらす。3角からは馬群のど真ん中に突っ込んでいき、今までのように早めにまくることはせず、直線に入ってステッキを入れるまではコース取りに専念しながら馬群についていく。残り300mでは、前のジョウテンブレーブとホワイトハピネスの間の1頭分もない隙間を無理矢理こじあけていき、ラチに頼るようにして右へと切れ込む。さすがに最内だと思う存分追えるようで、追いすがってきたトーホウシデンとの叩き合いも制して2冠を達成した。
向こう正面でも右にもたれる素振りを見せ、追い出してからも右へ右へともたれていた。レース前から言われていた悪癖は全然直っていなかったが、それをとりあえず封じ込めて追えるようにした鞍上の腕はさすがの一言。伊達に渡米した上で国内100勝を挙げていない。
予想で述べたとおり、この馬の長距離戦での能力自体は抜群であった。来春の天皇賞でも十分勝負できるであろう。ただし、それはあくまでも今回のように能力を出し切れればの話である。古馬になって落ち着けばまっすぐ走るようになるのであろうか。
トーホウシデンは馬体重こそ430kgと小柄だが、それ以上に体を大きく見せていた。
レースでは常に先団におり、馬群の内側3番手を進む。掛かっていく馬がいたため向こう正面では6番手ほど。折れ合ってマイペースでいき、4角まで持ったまま。4角から外に持ち出して、先頭のジョウテンブレーブとホワイトハピネスの外からスパートする。最内から交わされたエアシャカールに食い下がり、差し返そうとしたがそこまで。頭差の2着。
瞬発力の差からエアシャカールには出し抜かれたような形になったが、常に相手にマークされる立場だったことを考えると、この馬も相当強い。距離はいくら伸びてもいい様子。まだ成長分が見込めるし、来年以降も面白い1頭である。
エリモブライアンは+14kgと、春から1戦ごとに減っていた体重が一気に戻った。ただ、筋肉がついて幅が出たといってもちょっと緩い感じ。さすがに一気に戻り過ぎか。しかし、レースではエアシャカールの後ろくらいから末脚を生かして3着に滑り込んだ。2着には4馬身差と離されたが、4角でちょっとごちゃついたのがなかったらもう少し差は詰まっていたかもしれない。
ケージージェットは休み明けのもっさりした雰囲気だったが、こちらも最後方近くからよく伸びて4着。ジリ脚っぽいが長丁場には向いている。次はステイヤーズSくらいで見てみたいが。
ジョウテンブレーブとホワイトハピネスは正面スタンド前からずっと掛かっており、並びながら4角までに先頭に立ってしまった。ジョウテンブレーブはそもそも距離が長すぎる様子。ホワイトハピネスは入れ込みっぱなしでは距離適正は分からないが、まあ来年以降の馬か。
ヒシマジェスティはプラス体重は体が戻った分なのだろうが、体重が戻っただけで中身はまだともなっていなかった感じ。また、道中12番手からまくっているようでは辛い。先行したかった。
アグネスフライトは状態は非常に良く見えた。
スタートはまずまずで、序盤は無理せず馬群の外側10番手くらいを進む。ただ、折り合いを欠くというほどではないものの、馬がこれまでのレースとのペースの違いにとまどってか、抑えきれずにじわじわと上がっていく。向こう正面では7番手ほどでエアシャカールに外から並びかけていたが、逆にその辺りでは馬群のスピードに比べて行き脚が悪く、鞍上が気合いをつけ始める。残り800mほどとなる3角手前からレース全体のペースは上がっていくが、どうも手応えが良くない感じで鞍上の手が大きく動いていく。しかし、これで逆に馬の方は一気にスパートしてしまい、4角手前では4番手まで押し上げる。鞍上がさらに4角で鞭を入れ必死に追い出していくが、もう余力はなく、残り200mでは7番手まで後退する。地力で最後まで粘ったものの、5着と掲示板を確保するのが精一杯だった。
レース前に「中団より前でレースをして4角先頭くらいを狙う」と鞍上がコメントしていたそうだが、少しそれに固執しすぎたか。手応えが良くなかったのは本当のようだが、最後に止まってしまったのは仕掛けが早すぎたためである。今まではズブすぎたために長い脚を使えると勘違いされているが、この馬は瞬発力を生かすタイプで、そう長いスパートはかけられない。
今回はちぐはぐなレースだったが、力負けしたわけでもない。現段階では距離はこれがギリギリで天皇賞(春)はちょっと長いが、来年までの成長分は十分期待できる。今年の残りのレースよりも、来春のステップレースに注目したい。
勝負事では、その場その場の冷静な判断力と事前の的確な作戦構築がいかに大事かということを、まざまざと見せつけられたレースであった。鞍上がレースに勝利した以上、今度は相方のエアシャカールが己に勝つ番であろう。それがなった時こそ、再びこの馬も世界の舞台に立ち、人馬共にさらなる強豪にぶつかっていくことができるだろう。もちろん、その時には他の馬達も黙っていないことを祈る。
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