エリザベス女王杯 G1 京都 芝・2200m

一着ファレノプシス
二着フサイチエアデール
三着エイダイクイン

▲−△

掲示板に載った馬は全て抑えたのに(jДj)
 晴れて良馬場で行われた。芝は仮柵が外されたところもそう状態は良くなく、馬場の真ん中あたりはさらに良くなかったが、もともと芝脚が短いせいか、タイムは速いものが出ている。このレースの直前に行われたドンカスターSではレコードも出ていた。ただし、このレースの勝ち時計は、後述するようにかなりのスローペースだったこともあり、平凡なものだった。
 逃げると思われたオリーブクラウンが3番手に控えたため、すんなりとトゥザビクトリーがレースの主導権を握った。前後半の600mが35.5−33.9秒で、1000mが60.6−58.7秒。向こう正面ではペースが12秒台から13秒台まで落ち、3角からは11秒台のラップとなった。予想以上にスローペースで、馬群もひとかたまりだったため、直線を向いてヨーイドンのレースに。
 有力どころに差しタイプが多く、トゥザビクトリー自体もハイペースで逃げたくなかったためこのような展開になったのは分かる。だが、例えばサニーサイドアップのような切れ味勝負に向いていない馬達には、ひと工夫ほしかったところである。特に近年の牝馬限定G1レースにはこの傾向が続いているが、由々しき事態と考える。スローペース自体が悪いのではないが、単なる直線ヨーイドンに向いていない馬がそれにつきあっているのでは、鞍上に勝つ意志が見られないと判断されても仕方がないからだ。

 さて、トゥザビクトリーは休み明けでもないのに+14kgと大幅に馬体を増やしてきた。しかし、別に太くは見えないし、追い切りも悪いものではなかった。寒くなってきたために全体に身がついたということか。
 レースでは普通にハナに立ってゆっくりと回る。実に楽な展開だったのだが、その分後ろから常にマークされたのは不運だった。3角過ぎからフサイチエアデールが早めに並びかけてきたため、この馬も一緒にペースアップすることになり、その早仕掛けのためか直線に入ったときには余力が乏しかった。結局4位で入選がやっと。
 もっとも、不運と書いたが、別にフサイチエアデールに並ばれても一緒にペースを上げる必要はなかったのである。この馬が逃げているのは絡まれるとダメという問題ではなく、単に好きなように走らないと気が済まないというだけである。それがようやく先頭を走っているときには折り合いをつけてスローペースでも掛かりにくくなったというにすぎない。すなわち、3角過ぎという勝負所になったら、並ばれようが絡まれようが放っておき、自分のスパートするタイミングを守れば良かったのだ。その意味で、鞍上は「逃げ馬」というカテゴリーに固執しすぎたと言える。「悔いはない」と鞍上はレース後に述べているが、厩舎側は本当にそれでいいのだろうか。去年の春先には「一介の逃げ馬ではない」と意気揚々だったのに関わらずだ。
 まあ、どちらにせよフサイチエアデールと一緒に動いて完敗したのだから、瞬発力比べのレースではこの馬の力はこんなものということでもある。4歳時と比べて十分身がついたのだから、いっそのこと馬なりで逃げさせてみるのも手かもしれない。馬自身が弱いわけではないので、あとは回りが一皮むかせるだけである。

 フサイチエアデールも馬体重が12kg増だが、こちらは前走で馬体減していたし、体が戻ったという方があっているか。過去に連対した中では最高の馬体重だったが、びしびし調教されたものでもあり、重め残りというのではなかった。
 最内枠からじわじわレースを進めようとしたが、ペースが遅かったため掛かり気味に2番手に。少し行きたがりながら最内を回る。3角の坂を下りるところから抑えきれない感じで外からトゥザビクトリーに並びかけていく。直線に入ってスパートし、トゥザビクトリーを残り150mで置いて完勝かと思われたが、最後の50mで勝ち馬に交わされた。
 ラップタイムを考えると、この馬にとっては仕掛けが早すぎたのだが、このレース展開ではやむを得ないと思う。どうも陣営側は同厩舎のオリーブクラウンにペースメーカとなって欲しかったらしいが、具体的に指示をしていなかったため、鞍上が勝手に控えてしまった。これは陣営側のミス。馬は完璧なレースをしたし、鞍上も及第のつけられる騎乗をした。これで差されては仕方のない競馬をしただけに、作戦ミスが痛い。
 さて、どうしても欲しかったG1をまたもや逃がしたフサイチエアデールであるが、次の阪神牝馬Sで引退するそうだ。まだ衰えはないし、次走で引退は実に残念なことだ。

 ファレノプシスはベストの仕上げをしてきた。フサイチエアデールと一緒に先行したが、道中でちょっと抑えて同馬の直後につける。掛かることもなく最内を進み、3角では4番手に。同馬とトゥザビクトリーが早めに仕掛けたが、我慢して直線へ。最後は33.6秒とすごい伸び脚を見せて一気にフサイチエアデールを捉えた。
 やはりピークを過ぎていたのか、もともとの瞬発力の差か、直線入り口ではトゥザビクトリーとフサイチエアデールに置いていかれる形になった。それを巻き返したのは、追う方の利とラストレースに賭ける陣営の執念であろう。また、馬も良くそれに応えた。無事に繁殖入りできたのは何よりで、まずは来年以降の母親業に備えて、ゆっくり疲れを癒して欲しい。

 トーワトレジャーは勝負所で外の方を回らざるを得なかった。34.2秒の上がりを出したが10着がせいぜい。前走である程度先行できるようになったと思ったのだが。
 シルクプリマドンナは5着。33.5秒という、この馬にとっては出色の上がりを出したが、他がもっと速いのでは仕方ない。
 エイダイクインは最後に大外を33.0秒のとんでもない末脚を繰り出してきた。が、それも4角最後方からでは3着止まり。まだ馬群に入ると良くないらしいが、馬体自体は年々良くなってきている。距離もスプリントよりはこっちの方がいい。

 他の馬にはもうひと工夫をと冒頭で述べたが、強い馬達の叩き合い自体は実に見応えのあるものであった。秋華賞の方はレベルが低いだのコースが悪いだの散々言われているが、このレースは古馬牝馬に解放されることでハイレベルなレースを見られるようになった。やはり女王は強くなくては。

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